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システム開発

VPN設定ミスで情報漏えい。拠点間ネットワークの盲点

拠点間VPN接続の設定ミスで情報漏えい。IPアドレスと同一セグメントの落とし穴

最終更新

この記事の要点

  • 拠点間VPNは継ぎ足し設定・更新放置・属人化が重なり情報漏えいの穴になりやすい
  • 管理画面パスワードと通信範囲、ファームウェア更新状況の確認が応急対応の第一歩
  • 根本対策は通信範囲の見直し、認証強化、構成の文書化の3点
  • 担当者依存や不明点が多い場合は棚卸しだけでも外部専門家の関与が有効

本社と支店、工場、倉庫をVPNでつないでいるが、設定した担当者が退職してから中身を誰も把握していない――そんな状態のまま運用を続けている会社は少なくありません。「つながっているから大丈夫」という状態と「安全に守られている」状態は別物です。

1. VPN設定ミスが起こる原因

拠点間ネットワークは、事業拡大のたびに拠点が増え、その都度「とりあえずつながればいい」という優先順位で設定が積み重なっていきます。導入時の設計書が残っておらず、後から見返しても誰がなぜその設定にしたのか分からないケースが目立ちます。

もう一つの原因は、VPN機器のファームウェアやOSのアップデートが放置されがちなことです。拠点側のルーターは一度設置すると触られないまま数年が経ち、既知の脆弱性が残った状態で外部と常時接続されている、という状況が生まれます。

さらに、設定作業が特定の担当者や外部業者に属人化していることも要因です。担当者の異動・退職で管理パスワードや設定内容が引き継がれず、社内の誰も全体構成を説明できない「ブラックボックス化」が起こります。

拠点増設のたびの継ぎ足し設定と、更新放置、属人化が穴を生む

2. 今すぐできる応急チェック

まずは大がかりな改修に着手する前に、現状把握から始めます。以下の項目を確認するだけでも、危険な設定を早期に見つけられます。

  • VPN機器・ルーターの管理画面に、初期パスワードのまま、または簡易なパスワードでログインできないか
  • 拠点間の通信が暗号化方式の古い設定(脆弱とされる旧世代の方式)のまま運用されていないか
  • 本来は特定の拠点間だけで許可すべき通信が、社内ネットワーク全体に対して開放されていないか
  • VPN機器のファームウェアが最新版に更新されているか、サポート切れの機種を使っていないか
  • 設定変更やログイン履歴を確認できるログが残っているか、誰も見ていない状態になっていないか
自社の設定を触る前に、まずは現状を洗い出すことが第一歩

3. 根本的に解決する手順

応急チェックで問題が見つかった場合、その場しのぎのパスワード変更だけで終わらせず、ネットワーク構成そのものを見直すことが根本解決につながります。どの拠点からどの拠点へ、どの範囲の通信を許可するのかを明文化し、不要な経路を遮断します。

あわせて、VPN機器の認証方式を強化することも重要です。ID・パスワードだけに頼らず、証明書による認証や多要素認証を組み合わせることで、パスワードが漏れただけでは侵入できない構成にできます。

拠点数が多い、あるいは古い機器が混在している場合は、設計を一度リセットして構成図・設定内容・接続ルールを一式で文書化しておくと、その後の運用と引き継ぎが格段に楽になります。

通信範囲の見直しと認証強化、構成の文書化が根本対策の柱

4. 再発させないための運用の仕組み

設定を直しても、運用の仕組みがなければ同じ問題が数年後に再発します。VPN機器のファームウェア更新を定期的に確認するルールを決め、誰が・いつ・何を確認するかを明確にしておくことが必要です。

また、担当者の異動・退職に備えて、設定情報や管理パスワードを個人ではなく組織で管理する体制に切り替えることも欠かせません。属人化を解消しておけば、担当が変わっても安全性が落ちません。

年に一度など定期的に、外部の目で設定状況をチェックする機会を設けておくと、社内では気づきにくい見落としを早期に発見できます。

定期更新・組織管理・外部チェックの3点で属人化と放置を防ぐ

5. 自社対応と外部委託の判断基準

拠点数が少なく、社内に詳しい担当者が常時在籍している場合は、応急チェックと定期的な更新運用を自社で回すことも可能です。ただし、担当者が一人しかいない、あるいは兼務で片手間に見ている状態であれば、その人が不在の間は無防備になるリスクを抱えています。

拠点数が多い、機器の種類がばらばら、過去の設定経緯が不明といった状態であれば、無理に自社だけで解決しようとせず、専門家に構成の棚卸しから依頼する方が結果的に早く安全になります。設定ミスは「気づかないこと」自体がリスクなので、第三者の目を入れる価値は大きいです。

担当者依存・不明点が多いなら、棚卸しだけでも外部の目を入れる

データで見るVPN管理のブラックボックス化

経済産業省「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」(2025年5月公表)によると、ユーザー企業の61%が老朽化・ブラックボックス化したシステムを保有しています。VPN機器も設置から数年が経てば同じ状態になり、設定の経緯を説明できる人が社内にいなくなります。総務省「令和7年版情報通信白書」(2025年7月公表)では、デジタル化の課題として最も多く挙がったのが「人材不足」で48.7%でした。確認する人がいないことが、設定放置の背景にあります。

外部委託していれば安心とも言い切れません。帝国データバンク「『ソフトウェア業』の倒産動向(2024年度)」(2025年4月公表)によると、2024年度のソフトウェア業の倒産は220件で前年度の約1.4倍に増え、そのうち8割以上が従業員10人未満の小規模事業者でした。設定を任せた業者が対応できなくなる可能性は、現実的なリスクとして考えておく必要があります。自社に詳しい担当者がいない、かつ委託先が小規模一社のみという状態なら、構成情報を自社の手元に残す作業を先に進めてください。

  • 設置から3年以上更新していないVPN機器は、老朽化の対象として棚卸しリストに入れる
  • 設定内容・管理パスワード・構成図を、委託先だけでなく自社側にも保管する
  • 委託先が小規模の場合、担当者1人に依存していないかを契約更新時に確認する

出典

※ 2026年9月12日 に公的統計をもとに追記しました。

まとめ

VPNの設定ミスは、悪意ある攻撃を待たずとも、放置と属人化だけで情報漏えいの入り口になります。まずは管理画面のパスワードと通信範囲、機器の更新状況を確認し、問題があれば通信ルールの見直しと認証強化、そして組織での管理体制づくりまで進めることが重要です。最初の一歩として、自社のVPN機器の管理画面にログインし、パスワードとファームウェアのバージョンを今日中に確認してください。

設定の全体像が分からない、あるいは老朽化した機器の見直しごと相談したい場合はVPN・拠点間ネットワーク構築のページをご覧ください。すでに稼働中のネットワークに潜むリスクを客観的に洗い出したい場合は、脆弱性診断もあわせてご検討ください。

By Affelhansa Strategic Research

よくある質問

VPNの設定を見直すのに、どれくらいの期間がかかりますか?
拠点数や機器の状態によって大きく変わるため、一律には言えません。管理画面のパスワード確認やファームウェアのバージョン確認は今日中にでも着手できますが、通信範囲の見直しや構成の文書化まで進める場合は、まず現状の棚卸しを行ってから範囲を判断することになります。
社内に詳しい人がいなくても、自社だけでVPNの設定を直せますか?
拠点数が少なく、社内に詳しい担当者が常時いる場合は自社で回せますが、担当者が一人だけ、または兼務で片手間の状態なら不在時が無防備になります。拠点数が多い、機器の種類がばらばら、過去の設定経緯が不明といった場合は、無理に自社だけで進めず構成の棚卸しから外部に依頼する方が安全です。
VPNの設定を確認するとき、やってはいけないことはありますか?
問題が見つかったときに、その場しのぎのパスワード変更だけで終わらせないことです。設定を触る前に現状を洗い出し、どの拠点からどの拠点へどの範囲の通信を許可するのかを明文化したうえで、不要な経路の遮断や認証強化まで進める必要があります。運用ルールを決めないままだと、同じ問題が数年後に再発します。

監修株式会社アッフェルハンザ

千葉県柏市のIT会社。業務システム開発、Excel・AccessのWebシステム化、スマレジ連携・API開発、ホームページ制作・保守、ネットワーク構築、脆弱性診断まで、技術者が直接対応しています。

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