2026年8月20日、Adobeは画像・動画生成AIツール「Adobe Firefly」に音声関連の新機能を追加したと発表した。追加されたのは、楽曲を作る「Generate Music」、ナレーション音声を作る「Generate Speech」、効果音を作る「Generate Sound Effects」の3つ。動画制作に必要な「音」の要素を、Firefly単体で用意できるようになった。
1. Fireflyに追加された3つの音声生成機能
2026年8月20日、Adobeは公式ブログで、画像・動画生成AIツール「Adobe Firefly」に音声関連の新機能を追加したと発表した。追加されたのは「Generate Music」「Generate Speech」「Generate Sound Effects」の3つで、いずれも動画制作に必要な音の要素をFirefly内で生成できる機能となっている。
Generate Musicは、動画の長さやムードに合わせてオリジナル楽曲を生成できる機能で、商用利用に対応しているため、著作権を気にせず動画のBGMとして使える。Generate Speechは台本を入力すると自然な音声ナレーションに変換でき、音声合成サービス「ElevenLabs」との連携も選択でき、声質や抑揚を調整できる。Generate Sound Effectsは、映像のタイミングやエネルギーに合わせた効果音をプロンプト(指示文)から生成できる機能。SiliconANGLEの報道によれば、これらの機能はSNS投稿・Vlog・製品チュートリアル動画・ポッドキャストなど、動画制作全般を想定して位置づけられている。
- Generate Music:動画の長さ・ムードに合わせた、商用利用対応の楽曲を生成
- Generate Speech:台本から自然なナレーション音声を生成(ElevenLabs連携も選択可)
- Generate Sound Effects:映像のタイミングに合わせた効果音を生成
2. 背景:なぜ今、音声生成AIなのか
画像生成や動画生成のAIはここ数年で実用化が急速に進んできたが、動画に欠かせないBGMやナレーション、効果音といった音の要素は、これまで外部の素材サイトや外注に頼るケースが多かった。動画制作の工程を一つのツールの中で完結させたいというニーズが高まっており、Adobeが音声生成機能をFireflyに統合した背景には、こうした動画制作全体の効率化ニーズがあるとみられる。
商用利用に対応した音楽生成機能を用意した点からは、SNS投稿や広告、製品紹介動画など、企業が日常的に発信する動画コンテンツの需要増を意識した動きとみられる。
3. 中小企業への影響
動画を使った情報発信は、採用ページの紹介動画、製品の使い方動画、SNS広告など、中小企業でも身近な場面で増えている。これまでBGMや効果音を用意するには、素材サイトでの購入や外注が必要で、コストや著作権確認の手間がかかっていた。Generate MusicやGenerate Sound Effectsを使えば、こうした手間を社内で完結できる可能性がある。
ナレーション担当者を確保しづらい小規模な現場では、Generate Speechが有力な選択肢になる。台本さえあれば担当者が声を出さずにナレーション動画を作れるため、製品チュートリアルや社内研修動画の制作を内製化しやすくなる。一方で、生成した音楽・音声の著作権や利用範囲の条件は変更される可能性もあるため、商用利用の範囲は都度確認しておく必要がある。
4. 今できること
新機能をどう扱うか、優先度を分けて考えると判断しやすい。
- 様子見でよいこと:動画制作の体制を今すぐ作り直す必要はない。まずは小規模な動画1本で試すだけで十分
- 今すぐ試せること:自社のSNS投稿や製品紹介動画で、BGMまたは効果音の一部をFireflyの新機能で作ってみる
- やってはいけないこと:生成した音楽・音声の利用条件(商用利用の範囲や著作権表記の要否)を確認せず、そのまま広告や公式サイトに使うこと
5. 参考情報
- Adobe Blog(2026年8月20日発表)
- SiliconANGLE(2026年8月20日)
- MLQ News(2026年8月20日)
データで見る中小企業の生成AI活用実態
帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年5月公表)によると、業務で生成AIを活用している企業は34.5%だった。同調査では活用用途は「文書の作成・要約・編集」が45.1%で最多、次いで「情報収集」が21.8%となっており、テキスト中心の使い方が上位を占める。BGMやナレーションの生成は、企業にとってこれから試す領域にあたる。
一方、東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2026年6月公表)によると、生成AI活用の社内指針・ガイドラインを「策定している」中小企業は7.7%にとどまり、40.3%は「個人レベルで活用」していた。同調査では、デジタルシフト・DXに取り組む中小企業の83.9%が生成AIを活用している。使ってはいるがルールは決まっていない、という状態が広がっている。
音楽やナレーションは、社内文書と違って広告や自社サイトなど社外に出る形で使われやすく、利用条件の確認漏れがそのまま外部に出る。担当者個人の判断に任せず、商用利用の可否と著作権表記の要否を誰が確認するかを決めてから、動画1本で試すのが妥当だ。
- 業務で生成AIを活用している企業は34.5%(帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」2026年5月公表)
- 活用用途は「文書の作成・要約・編集」が45.1%で最多、「情報収集」が21.8%(同調査、2026年5月公表)
- 社内指針を策定済みの中小企業は7.7%、「個人レベルで活用」は40.3%(東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」2026年6月公表)
- 音声・BGMは社外公開物に直結するため、試す前に利用条件の確認担当を決める
出典
- 東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」集計結果(2026年3月25日〜4月15日、主に東京23区内の中小企業、回答1,272社、郵送・メール送付/郵送・Webフォーム回答)(2026-06公表) www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1209648
- 東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」集計結果(主に東京23区内の中小企業、回答1,272社)(2026-06公表) www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1209648
- 帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年3月17日〜31日、全国23,349社を対象、有効回答10,312社)(2026-05公表) www.tdb.co.jp/report/economic/20260514-genai/
- 帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(全国23,349社を対象、有効回答10,312社)(2026-05公表) www.tdb.co.jp/report/economic/20260514-genai/
※ 2026年9月12日 に公的統計をもとに追記しました。
まとめ
Adobeは2026年8月20日、Fireflyに音楽・ナレーション・効果音を生成する3つの機能を追加した。動画制作に必要な音の要素を外部委託せずに社内で用意できる可能性が広がったが、著作権や利用範囲の確認は引き続き必要だ。まずは1本の動画で試し、自社の動画制作フローに組み込めるか見極めることが最初の一歩になる。
参考情報
- Adobe Blog(2026-08-20)
- SiliconANGLE(2026-08-20)
- MLQ News(2026-08-20)
※ 2026年8月28日 時点の公開情報をもとに作成しています。
By Affelhansa Strategic Research

